出現する巻と本文(新日本古典文学大系 源氏物語;岩波書店) |
「若紫」 @P168-14 やがてその国より入れたる箱の唐めいたるを、透きたる袋に入れて、五えうの枝につけて、紺瑠璃の壷どもに御薬ども入れて、藤、桜などにつけて、所につけたる御をくりものども捧げたてまつり給ふ。 「花宴」 @P282-15 寝殿に、女一宮、女三宮のおはします、東の戸口におはして、寄り居たまへ り。藤はこなたのつまにあたりてあれば、御格子ども上げわたして、人人出でゐたり。 「蓬生」 AP146-5 大きなる松に藤の咲きかかりて、月影になよびたる、風につきてさと匂ふが なつかしく、そこはかとなきかほりなり。 「少女」 AP323-7 南の東は、山高く、春の花の木、数を尽くして植へ、池のさまおもしろくす ぐれて、御前近き前栽、五えう、紅梅、桜、藤、山吹、岩躑躅などやうの春の もてあそびをわざとは植へで、秋の前栽をばむらむらほのかにまぜたり。 「胡蝶」 AP401-9 こなたかなた霞みあひたる梢ども、錦を引きわたせる に、御前の方は、はるばると見やられて、色をましたる柳、枝を垂れたる、花もえも言はぬにほひを散らしたり。ほかには盛り過ぎたる桜も、いま盛りにほお笑み、廊をめぐれる藤の色もこまやかにひらけゆきにけり。 「真木柱」 BP142-2 三月になりて、六条殿の御前の藤、山吹のおもしろき夕映へを見給につけ ても、まづ見るかひありてい給へりし御さまのみおぼし出でらるれば、春の御 前をうち捨てて、こなたに渡りて御覧ず。 「藤裏葉」 BP178-9 四月のついたちごろ、御前の藤の花、いとおもしろう咲みだれて、世の常の色 ならず、 「藤裏葉」 BP178-13 わがやどの藤の色こきたそかれにたづねやはこぬ春のなごりをげにいと面白き枝に付け給へり。 「藤裏葉」 BP179-1 中中に折やまどはむ藤の花たそかれどきのたどたどしくは 「藤裏葉」 BP179-7 「さしも侍らじ。対の前の藤、常よりもおもしろう咲きて侍なるを、静かなるころほひなれば、遊びせんなどにや侍らん」と申給。 「若菜 上」 BP254-5 「この藤よ、いかに染めけむ色にか。なをえならぬ心添ふにほひにこそ。いかでかこの陰をばたち離るべき」 「幻」 CP192-2 ほかの花は一重散りて、八重咲く花桜盛り過ぎて、樺桜はひらけ、藤は をくれて色づきなどこそはすめるを、 「竹河」 CP276-11 かの御方の御前近く見やらるる五葉に、藤のいとおもしろく咲きかかりたるを、水のほとりの石に苔を席にてながめゐ給へり。 <参考> 「少女」 CP287-7 かけきやは川瀬の波もたちかへり君がみそぎのふぢのやつれを紫の紙、立文すくよかにて藤の花につけ給へり。おりのあはれなれば、御返あり。 |