出現する巻と本文(新日本古典文学大系 源氏物語;岩波書店) |
「須磨」 P042-10 御馬ども近う立てて、見やりなる倉か何ぞなる稲取り出でて飼ふなど、めづらしう見給ふ。 「明石」 P60-06 入道の領じめたる所所、海のつらにも山隠れにも、時時につけてけふをさかすべき渚の苫屋、行ひをして後世のことを思ひすましつべき山水のつらに、いかめしき堂を建てて三昧を行ひ、此世のまうけに秋の田の実を刈りをさめ、残りの齢積むべき稲の倉町どもなど、おりおり所につけたる、見所ありてし集めたり。 「夕霧」 P126-12 山風にたへぬ木ゝの梢も峰の葛葉も、心あはたゝしうあらそひ散るまぎれに、たうとき読経の声かすかに、念仏などの声ばかりして、人のけはひいと少なう木枯らしの吹き払ひたるに、鹿はたゞまがきのもとにたゝずみつゝ、山田の引板にもおどろかず、色濃き稲どもの中にまじりてうち鳴くも、愁へ顔なり。 「手習」 P339-15 門田の稲刈るとて、所につけたる物まねびしつゝ、若き女どもは歌うたひけうじあへり。 |