出現する巻と本文(新日本古典文学大系 源氏物語;岩波書店) |
「少女」 p278-01 年かはりて、宮の御果ても過ぎぬれば、世中いろ改まりて、更衣のほどなどもいまめかしきを、まして祭のころは、大方の空のけしき心ちよげなるに、前斎院はつれづれとながめ給を、前なる桂の下風なつかしきにつけても、若き人ひとは思ひ出づることどもあるに、大殿より、「御禊の日はいかにのどやかに おぼさるらむ」と、とぶらひきこえさせ給へり。 「藤袴」 p099-01 なをもて出でず、忍びやかに御消息なども聞こえかはし給ければ、月の明かき夜、桂の陰に隠れてものし給へり。見聞き入るべくもあらざりしを、なごりなく南の御簾の前に据へたてまつる。 |