< きく >
出現する巻と本文(新日本古典文学大系 源氏物語;岩波書店)
「帚木」   P51-11
いとおもしろくうつろひわたりて、風に競へる紅葉の乱れなど、あはれとげに見えたり。

「帚木」   P52-02
 をおりて、「琴の音も月もえならぬ宿ながらつれなき人を引きやとめけるわろかめり」

「帚木」   P60-04
九日の宴に、まづかたき詩の心を思めぐらし暇なきおりに、の露をかこち寄せなどやうの、つきなきいとなみにあはせ、さならでも、

「紅葉賀」   P243−03
かざしの紅葉いたう散りすぎて、顔のにほひにけおされたる心ちすれば、御前なるを折て左大将さしかへ給。

「紅葉賀」   P243−04
さるいみじき姿に、の色色うつろひ、えならぬをかざして、けふはまたなき手を尽くしたる入り綾のほど、そぞろ寒く、この世の事ともおぼえず。

「葵」   P315−07
 深き秋のあはれまさり行風のをと、身にしみけるかなと、ならはぬ御ひとり寝に、明かしかね給へる朝ぼらけの霧りわたれるに、のけしきばめる枝に、濃き青鈍の紙なる文つけて、さしをきて往にけり。

「少女」   P324-06
冬のはじめの朝霜むすぶべきのまがき、我は顔なる柞原、おさおさ名も知らぬ深山木どもの木深きなどを移し植へたり。

「藤裏葉」   P193-08
 女君の大輔の乳母、「六位宿世」とつぶやきしよひのこと、物のをりをりにおぼし出でければ、のいとおもしろくてうつろひたるを給はせて、
  「あさみどりわか葉のを露にても濃きむらさきの色とかけきやからかりし折の一言葉こそ忘られね」と、いとにほひやかにほゝ笑みて給へり。はづかしういとをしき物から、うつくしう見たてまつる。
  「ふた葉より名立たる園のなればあさき色わく露もなかりきいかに心をかせ給へりけるにか」といと馴れて苦しがる。
 
「藤裏葉」   P197-07
あるじの院、をおらせ給て、青海波の折をおぼし出づ。
 色まさるまがきのもをりをりに袖うちかけし秋を恋ふらし

「幻」   P203-01
九月になりて、九日、綿おほひたるを御覧じて、
 もろともにおきゐしの白露もひとりたもとにかるる秋かな

「匂宮」   P219-13
老を忘るゝに、おとろへ行藤袴、物げなきわれもかうなどは、いとすさまじき霜枯れのころをひまでおぼし捨てず、

「宿木」   P030-06
御前の移ろひはてて盛りなるころ、空のけしきのあはれにうちしぐるるにも、まづこの御方に渡らせ給て、むかしの事など聞えさせ給ふに、

「宿木」   P32-08
霜にあへず枯れにし園のなれど残りの色はあせずもある哉
  

「宿木」   P94-15
 のまだよく移ろひはてで、わざとつくろひたてさせ給へるは、なかなかをそきに、いかなる。一本にかあらむ、

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