<すゑつむはな>
出現する巻と本文(新日本古典文学大系 源氏物語;岩波書店)
「末摘花」  p230-04
   なつかしき色ともなしになににこのすゑつむ花を袖にふれけむ
  色濃き花と見しかども。
など書きけがし給ふ。

「末摘花」  p233-09
口おほひの側目より、なをかの末摘花、いとにほひやかにさし出でたり。見ぐるしのわざやとおぼさる。

「玉鬘」  p359-07

かの末摘花の言ふかひなかりしをおぼし出づれば、さやうに沈みて生ひ出でたらむ人のありさまうしろめたくて、まづ文のけしきゆかしくおぼさるゝなりけり。

「玉鬘」  p368-15
よきとても物の色は限りあり、人のかたちは、をくれたるも又なを底ひある物を」とて、かの末摘花の御料に、柳のをり物の、よしある唐草を乱れをれるもいとなまめきたれば、人知れずほゝ笑まれ給。

「玉鬘」  p369-09
みな、御返どもたゞならず、御使の禄心心なるに、末摘、東の院におはすれば、いますこしさし離れ、艶なるべきを、うるはしくものし給人にて、あるべき事は違へ給はず、山吹の袿の袖口いとすゝけたるを、うつほにてうちかけ給へり。

源氏物語の植物へ戻る