<やまぶき>
出現する巻と本文(新日本古典文学大系 源氏物語;岩波書店)
「少女」  p323-06
南の東は、山高く、春の花の木、数を尽くして植へ、池のさまおもしろくすぐれて、御前近き前栽、五えう、紅梅、桜、藤、山吹、岩躑躅などやうの春のもてあそびをわざとは植へで、秋の前栽をばむらむらほのかにまぜたり。

「胡蝶」  p401-08
まして池の水に影をうつしたる山吹、岸よりこぼれていみじき盛りなり。

「胡蝶」  p401-13,14
風吹けば波の花さへ色見えてこや名に立てる山吹の崎
春の池や井手の川瀬にかよふらん岸の山吹そこもにほへり

「胡蝶」  p405-13
てうはましてはかなきさまに飛び立ちて、山吹の籬のもとに、咲きこぼ柁たる花の陰に舞ひ出づる。

「野分」   p048-09
きのふ見し御けはひには気劣りたれど、見るに笑まるゝさまは、立ちも並びぬべく見ゆる。やえ山吹の咲き乱れたる盛りに、露のかゝれる夕映へぞふと思ひ出でらるゝ。

「真木柱」  p142-02
三月になりて、六条殿の御前の藤、山吹のおもしろき夕映へを見給につけても、

「幻」  p192-01
山吹などの心ちよげに咲き乱れたるも、うちつけに露けくのみ見なされ給。

「幻」  p193-14
花の色もすさまじくのみ見なさるるを、仏の御飾りにてこそ見るべかりけれ」との給て、「対の前の山吹こそ猶世に見えぬ花のさまなれ。房の大きさなどよ。

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