2.消息文部分の構造と構成、全体的考察

 この消息文部分の頁数は17頁4行(1頁は16行)である。その構造は、正月の一日〜三日の若宮の御載餅の御まかなひの話の筋から展開する部分(A1)、この次に人の容姿について誉めるというただし書き(3行)、九人の女房の容姿を語る部分(A2)、人の心立てについて意見を表明する難しさをことわる部分(4行)、斉院の中将の君に関する部分(B1)、和泉式部の歌に関する部分(B2)、赤染衛門(B3)、清少納言に始まる部分(B4)、結文(C)から成るこの消息文部分の構造と構成をまとめると表1のごとく成る。表の内容を検討すると、A1とA2はすべて容姿について書かれてあり同一群と見なされる。各人の使用行数もほぼ均等で数行であるから微細な描写はされていない。全部で12人の顔、額、髪、体型、肌の色合い、振舞いなどを当人達を知らなければ、何の面白味もない、表面的なことを、しかも aで悪口は語らないと断わった上で次々と書き続けられている。bのあと実際に人の心立てのことを語るB群では、斉院の中将に関する部分B1が5頁で清少納言こそに始まるB4の部分が6頁で文章量として、B2、B3を圧倒している。B2では和泉式部の即興歌に良さがあるのに、他人の和歌の批判は当を得ていないと語るが、語られていることが歌だけであり、文章量が8行と少ないため紫式部の性格や内面を導くには不充分である。B3では赤染衛門が夫の匡衡の任官に奔走しているところから、宮中や道長邸では匡衡衛門と言われていると語る。紫式部独特の語り口とは考えられるがこのあと歌読みの卓越していることを述べているが、中宮彰子に同僚女房として仕えていた人物なので斟酌している面も考えられる。B2、B3とも行数は数行で、A群と同程度で性格を考察するには不充分な文章量である。
 性格を考える上で、消息文部分で重要性を持ってくるのは、文章量からも斉院の中将に関する部分B1と清少納言こそ以下の部分B4である。